はじめに
前編に載せた「目次」から少し変わりました。全体の目次を載せておきます。
目次:
――前編――
- キャンプの概要
- キャンプの練習について
- テーマ
- テーマから練習メニューへ
- 練習内容
- トレーニング実践
- まとめ
キャンプの練習について(つづき)
練習内容
練習メニューのベースにしたのは、練習の最初と最後に行うゲーム。テーマに基づいて設定を工夫したゲームを行いました。
そして、ゲームとゲームの間の練習でプレーを改善していきます。
いわゆる「M-T-M(Match-Training-Match)」の考え方です。
ゴール前の攻防に関しては、ダブルボックスのシュートゲームを軸にしました。
ただし、他の学年との兼ね合いで大きなゴール(少年用)がひとつしか使えないため、対面のゴールは大きなゴールと同じ幅に作ったコーンのゴール。
前後半で攻めるゴールを交代することで、公平にしました。
ボールを巡る攻防に関しては、横長4ゴールゲームをメインにしました。
相手のゴールまでの縦の距離が短く、縦にボールを運ぶことはあまりしなくてもゴールに到達できます。
さらに、攻めるゴールが1チームにつき2つあるので、ボールを保持しながら相手に揺さぶりをかければそれだけ有利になります。
トレーニング実践
シュートゲームは比較的分かりやすく、狙いどおりに行きました。初めのゲームでは多少ごちゃごちゃした展開にはなりましたが、同じピッチ・ゴールを使って人数を減らした2対1+GKなどのトレーニングを通して、ゴールを目指す狙いが少しずつはっきりしていきました。
シュート場面が通常のゲームより増え、いつもはあまり得点に絡まない選手も得点を決めるなど、出てきて欲しかった現象が多く見られるとともに、成功体験をしてもらうこともできました。
また、攻撃側だけではなく守備側、特にゴールキーパーをやった選手のがんばりもあり、ゴール前での「本気」の対決場面が出てきたこともよかったと思います。
その一方で、横長4ゴールゲームはシュートゲームほど分かりやすくはなく、安易にボールを蹴って失ってしまう場面が少なくありませんでした。
ゴールが近いからシュートを狙う、ということであればそれはOKだと考えますが、そうではなく、ノーアイデアで蹴ってしまう場面が見られました。
シュートゲームが見るからにシュートを狙いやすいのに対して、このゲームでボールを保持すること、あるいは積極的に奪いに行くことは、有効な手段ではあっても、見るからにそうした方がいい、と思えるようなものではありませんでした。
ゲーム間のトレーニングでは1対1のボールポゼッション(キープ)などを行い、体を入れてボールをキープする感覚はすこしずつつかめてきたのではないかと思います。
ただ、それがゲームでのパフォーマンスに直結するかというと、まだそうではないのが現状です。
相手を背負ってプレーすることが当然と思ってやるポゼッション練習と、前を向いて仕掛けるか、時には背負ってキープするかという判断が必要なゲームとのギャップがここにあります。
これについては、焦って声をかけて「やらせる」のではなく、体の使い方やボールの持ち方などの技術を身につけていくことで、その感覚をもとにゲームの中で自分で判断していくように導いていきたいと思っています。
技術に関しては反復練習をして身につけ、磨き、ゲームの中では声かけをしてトライを促し、また行ったトライに対してフィードバックをしていくことが重要です。
まとめ
さて、この冬休みキャンプを通して、テーマとした「サッカーのゲームを楽しむ」ということはどれだけできるようになったでしょうか。キャンプの中では、年明け初回の「初蹴り」や最終日に、テーマ設定のあるミニゲームではなく、大きなコートでのゲームも行いました。
その中では低学年と高学年が混ざってプレーすることもありました。
そんな中で低学年の選手たちは、「相手」、「ゴール」、「ボール」という要素に関してどんなプレーを見せてくれたでしょうか。
大きなコートでのゲームでは、自分たちのゴールから相手のゴールまでが遠く、またボールや相手選手からも離れてしまう場面が出てきます。
そんな時、低学年の選手たちは自分から「相手」、「ゴール」、「ボール」へと向かっていくことができませんでした。
「相手」や「ボール」が近くにあるときは以前よりも積極的にプレーできるようにはなったので、その点は改善点です。
局面では闘う姿勢が少しずつ出てきているように思います。
しかし、遠い時には行けないというのは、練習やミニゲームと大きなコートでのゲームがまだ十分につながっていないということです。
今回のキャンプでは、テーマのミニゲームから通常のゲームへと「戻す」ためのメニュー設定をしてなかったので、そういう事になったのかもしれません。
一回の練習はミニゲームで始まってミニゲームで終わり、日によって大きな試合をするというスタイルだったので、そこは検討の余地あり、でした。
後は、選手たちにもっと本物のサッカーの試合を観てもらうことが大事なのではないかと思っています。
見本・お手本があれば、サッカーのゲームでどういうふうにプレーするべきかということはある程度自然に分かってくるのではないかと思います。
そして、サッカーの全体像を捉えてさえいれば、場面や技術を抽出して行うトレーニングも、全体の中でどういうところに位置づくものかということがわかるでしょう。
しかし、普段の練習だけでは、ドリブルやパスの見本をコーチが見せることはできても、チーム全体としてのプレーの見本は見せられません。
年少者が年長者を見て育つ環境があればよいのですが、小学生だけのクラブで、高学年であってもまだまだサッカーを知らないというのが現状です。
そこで、以前にも紹介したように、送迎バスの中でサッカーの映像を見られるようにしているわけです。
あるいは、ボールを扱う技術がつけばボールへの執着心も芽生え、高まるということを仰っている指導者の方もいます。
これもまた、なるほどと思うところです。
今回のキャンプでは、「サッカーのゲームを楽しむ」ということに対して一種類のアプローチをしたわけですが、方法はこれだけではない、ということです。
これからも視野を狭めることなく、様々な方面から働きかけて行きたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿